今のペット産業を取り巻く環境は、猫の飼育の下げ止まりは見られるが犬の飼育頭数減少及び飼育意向率の低下を受け、市場全体の縮退傾向にあります。そして、動物愛護管理法の改正に伴い、ペットの供給環境が厳正されたことにより、市場は「量」から「質」に変化してきています。
飼育の実態ではペットの小型化の進展、室内飼育の上昇など「家族化」「パートナー化」の傾向が強まると共に、ペットとの「共生」空間・環境がさらに密度を高め充実する状況にあります。また、人と同様に高齢化や肥満化が進み、健康寿命の延伸に対する意識が高まり、加えて観賞魚、小鳥、小動物、昆虫、爬虫類等の多様化及び複数飼育が広まっています。さらに、ペット飼育による人への効用は、精神衛生学や心理学等の学術研究による実証化が進んでおり、新たな飼育傾向を創出できる可能性が高くなっているように思われます。
顧客は、一般商品に関しては節約意識が高くなっていますが、自身のペット関連への支出は増加傾向が見られ、付加価値のあるものに支出を惜しまない傾向にあります。顧客のペットに対する愛情が増えるに連れ顧客自体が学習していく中、用品やフードの「安全」「安心」志向がさらに高まる傾向にあり、ペット飼育の効用をさらに浸透させ飼育意向を高めることにより今までとは異なる高質な市場が創造できるのではないでしょうか。そのためには、「安全」「安心」の担保された付加価値を創造し、その価値を顧客に伝達・浸透させ信頼を獲得する仕組みが今後のペット産業拡充には必須の状況にあると思います。
2. 活動方針
JPPMAは設立30年の間、「ペット飼育者の信頼に応えるペット用品・フード等を提供するため、安全かつ適切な品質の啓発及び情報の発信をするとともに、併せてペット用品の正しい使用方法等の啓発を通じ、健全なペット文化の発展で社会に寄与すること」(定款第3条)を目的に活動してきました。 今後もこの目的を達するため、時代の環境に即して活動しいきます。 さらに、ペット産業の発展に向け、ペット用品、ペットフード等の製造販売業者が一業界団体として一本化し、ペ ット飼育者に対する様々な啓発・情報発信を一元的に行うことが、飼育者からの高い信頼を獲得し、ひいては世界に伍した産業化に繋がるものと考えます。
しかしながら、現時点においてはペットフード協会はじめ諸団体とは設立趣旨・目的は符合するが、各々の事業活動・運営方法とは趣旨を異にする部分が散見されるため、今後中期的に調整を要するものと思慮しています。 したがって、短期的には定款第4条
ペット用品・フードの安全性・品質向上の啓発及び普及
ペット用品・フードの正しい使用方法等とペットの飼育拡大に関する啓発
ジャパンペットフェアの開催
に注力して、他関連団体・官公庁と協調した活動を推進したいと考えます。
当会と致しましては人とペットがともに快適に暮らせる環境づくりに尽力し、社会に貢献する団体として、従前以上の活動をしてまいります。皆様方のより一層の御支援と御協力を賜りたくお願い申し上げます。
一般社団法人
日本ペット用品工業会
日本ペット用品工業会